IPO

レディットのIPOについて

horiki

米オンライン掲示板運営会社のReddit(以下、レディット)は、今月ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場します。何の根拠もない直感ではありますが、危険なにおいがするので、記録にしておこうと思います。
※IPO直後の株価はどうなるかわかりません。ただ、企業業績がだんだん良くなるけれども、市場参加者の期待に応えることが出来ず、つまり良い決算を出すことができず、長期にわたって株価が低迷することになる予感がしています。あくまで個人的な”予感”です。

本記事では、2024年2月22日に公開された、新規株式公開(IPO)売出目論見書を基に纏めました(全体で約280ページの超分厚いファイルでした。疲れたぜ😓)。

IPO情報(超概略)

  • ティッカーシンボルは「RDDT」です。
  • 売り出し株式数、売り出し価格は今のところ未定です。
  • 主幹事証券は、モルガンスタンレー、ゴールドマンサックス、J.P.モルガン、バンクオブアメリカ、シティグループ、ドイツ銀行などであり、安心できる面々です(「豪華メンバー」と言っても良いかもです)。

レディットとは?

レディットはアメリカ発の掲示板型ソーシャルニュースサイトのことです。ニュース記事や画像リンクを投稿し、コメントをつけることができます。
日本でいう匿名掲示板「2ちゃんねる」的な大型掲示板のことです。

私は、2ちゃんねるもレディットも使ったことがありません。今回は、サイトを見比べて(2ちゃんねるは、5ちゃんねるを参照しました)、また、普段使っている人(会社にいる現役バリバリのオタクの方)に話を聞いた範囲で纏めました。

2ちゃんねるに似ている

ニュース記事や、ある出来事の紹介や感想などのトピックを誰でも立てられます。また、誰でもこのトピックにコメントを書き込めます。
2ちゃんねるなどにおける『板』に相当するものは、レディットでは『サブレディット』と呼ばれます。また、掲示板の『管理人』に相当する『モデレーター』と呼ばれる人は、ユーザーの中から選ばれます。

ゲーム的要素がある

投稿されたトピックやコメントは他のユーザーの投票にかけられ、各ユーザーはそのトピックやコメントについて投票することが出来ます。投票結果とその時間経過によってランク付けされ、ランク順に表示されます。

つまり、面白い投稿や役に立つ投稿に票が集まり「高ランクとして評価され、優先的に表示される」ところにゲーム的要素(自己満足の追求、承認欲求を満たすなど)があると考えます。

規模

  • アクティブユーザーは、7300万人/日です。
    • (参考情報) X(旧ツイッター)は、9540万人/日(米国内に限る)です。
  • アクティブコミュニティは10万件以上です。
  • アクティブモデレーターは6万人以上です。
  • 2023年12月31日までに10億件を超える投稿と160億件を超えるコメントがついております。

業績

収入源

現在の中核事業はオンライン広告事業(プラットフォーム上に掲載している第三者の広告掲載費)です。今後は、AIを利用してさらなる事業拡大を進める計画です。

逆に、運営コストは人件費、アプリやウェブサイトのホスティング費用(サーバーレンタル料的なもの)などです。

データで業績を確認

直近2年分の通年データで比較しました。
業績は改善傾向であり、良好です(下の棒グラフをご参照)。
なお、Quarterly Average DAUqとQuarterly ARPUの図はDocument (sec.gov)より抜粋しました。

DAUq;デイリーアクティブユニーク。登録アカウントにログインしているユーザーだけでなく、ログインしていないユーザーやアカウント持っていないユーザーの訪問も含まれています。これは、検索エンジンからレディットに来る訪問者は通常、ログインしておらず、PC・スマホの両方から来ているためです。
ARPU;ユニークあたりの平均収入のことで、特定の地域における四半期収益をその地域のDAUqで割ったもの。

経営者コメント

使命

世界中の全ての人にコミュニティ、帰属意識、そしてエンパワーメント(ユーザー一人ひとりが自発的に行動できること)をもたらすこと。

戦略

人々がニュースや文化、エンターテイメントを探す際の最初の選択となることを目指している。この目標を達成するために、レディットと広告主の絶え間なく進化するニーズ応えるべく、プラットフォームを拡張・変革する。

今後の予定

広告ビジネスを拡大するため、人材とプラットフォーム、インフラストラクチャへの投資を継続する予定。
また、AI企業とのデータライセンス契約を通じ、事業を成長させる計画です。
具体的な例として、グーグルとの提携拡大で、グーグルのAIモデルのトレーニングにレディットのデータ(テキスト、画像など)を利用できるようにする計画です。
なお、チャットGPTを運営するオープンAIとの提携は発表されていません。

事業に関連するリスク

(当然ながらネガティブな事柄が長々と記載されていました。本記事では私が「これ」と感じた事柄に絞ります)
事業、経営成績、財務状況、および見通しに損害を与えることになるリスクは以下の通りです。

  • ユーザーベース、特にDAUqの増加・維持に失敗した場合、またはユーザーエンゲージメントが低下した場合。
  • プラットフォームが高品質であり信頼性足ること、そして、革新的であると認識され続けない場合。
  • ユーザー層(年齢別や地域別など)を拡大できない場合、ユーザーベースが拡大しない可能性がある。
  • 新しい製品や改良された製品やサービスを導入しない、またはレディットのエンゲージメントに悪影響を与える新しい製品や改良された製品やサービスを導入した場合。
  • レディットがコンテンツの投稿を継続しない場合、またはその投稿が価値がなく魅力的でない場合。
  • レディットで利用可能なコンテンツが攻撃的、不適切、敵対的、または不快である場合。
  • 広告主による不快な行為。それに対してレディットが迅速に対応できない場合。

ちなみに、DAUqの成長率は過去に減少した実績があります。
例えば、新型コロナのパンデミック中にユーザーベースを増加しましたが、新型コロナの収束するにつれて、DAUqの成長レベルは低下し、DAUqは減少しました。

その他の情報

大株主にあの人が?

チャットGPTを運営しているOpenAIのアルトマン氏の関連団体がレディットの発行株式の8.7%保有していることが判明しました。というのも、アルトマン氏は2014年にレディットの暫定CEOを務めたことがあるからです。

IPOに関するユニークな取り決め

レディットは、特定のユーザーとモデレーターのために、不特定多数のIPO株を確保していることを発表しました。
同社は、対象となるユーザーにdirected share programへの事前登録を呼びかけています。
※指定株式プログラム;企業が新規株式公開(IPO)の際、特定個人やグループに対して株式を直接購入する機会を提供するプログラム

大胆に行動するロビンフッド族のツールとして使われた

レディットは、株式市場の大きな話題の中心になっております。イメージとしては、日本のヤフーファイナンスの掲示板のようなものです。
特に多数のロビンフッド族がレディットを利用して団結し、GMEやBBBYなどの銘柄を売買し、利益を得ていましたね。

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ほりき
ほりき
サラリーマン株式投資家
愛媛でサラリーマンをしている個人投資家です。
自分の人生を有益なものにするためにブログを始めました。
米国株式を中心に情報発信をしています。その他、個人的に「残しておきたい」と思う情報や思い出もアップしていきます。
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