インドETFへの投資について
本記事は、2022年12月31日にnoteに投稿した記事の再掲となりますが、内容はアップデートしております。
1.初めに
- 2022年12月時点で、中国では新型コロナ蔓延による、①テスラ上海ギガファクトリーの稼働停止、②iPhone製造工場の稼働停止などの減産が相次ぎ発生しています。
- これを受けて中国に製造拠点を有する各国の製造メーカーが、製造拠点をインドやベトナム、メキシコなどへ移転させようとしております。
- すでに、アップルは一部の製品の製造工場をベトナムやインドに移し安定供給できるような体制づくりを検討し始めております。
- 今回は、①インドへの製造工場移転によるインド経済の活性化、②インドは若い世代が多く活気がある(高齢化社会の兆候なし)、③2023年には中国を抜いて世界最大の人口を有することになる(国連推定)、④今後米国金利高が収まりインフレが収まることから(インドはインフレに弱い体質)、インドへの投資機会を考えてみました。
2.インドへ投資する方法
我々個人投資家がインドへ投資する場合、大きく2通りのやり方があると思います。
ⒶADRを活用して個別企業(タタ・モーターズ(ティッカーシンボル;TTM)、インフォシス(ティッカーシンボル;INFY)など)に投資する方法
ⒷETFを利用した幅広い企業( ≒ インドという国自体)に投資する方法
3.今回はETF
インドには有望な若い企業がゴロゴロあると思いますが(ほりきの憶測です)、今回は上述の①~④の太字部の理由からインド自体への投資を目的にETFの比較をしようと思います。
4.主要インドETF
主要なインドETFを下表にまとめました。
また、各ETFの構成銘柄上位3銘柄とチャート並べます。
なお、ティッカーシンボル;SMINとINDAは日本の金融庁への届けがなされていませんので、国内証券会社での取り扱いはございません。
2024/6/30追記
2024/6/12にブラックロックから「iシェアーズ インド株 Nifty50 ETF(ティッカー;201A)」が上場されました。こちらの詳細な中身までは調べられておりませんが、運用コストが0.385%であり、どの銘柄よりもぶっちぎりでお得です。
銘柄 | ティッカー | 総資産 | 運用コスト | セクター割合(上位5位) | 取扱証券会社 |
---|---|---|---|---|---|
ウィズダムツリー インド株収益ファンド | EPI | 6.87億ドル | 0.84% | 素材24.3% エネルギー16.7% 金融16.0% 情報技術12.3% 公共7.2% | マネックス証券 楽天証券 松井証券 SBI証券 他 |
iシェアーズMSCI インド・スモールキャップETF | SMIN | 2.98億ドル | 0.74% | 素材19.3% 工業18.3% 一般消費財17.1% 金融14.9% ヘルスケア9.1% | 国内証券会社の取り扱いなし (金融庁未承認) |
iシェアーズ MSCI インディア・クライメート・トランジションETF | INDA | 0.74億ドル | 0.65% | 金融25.3% 情報技術14.8% 生活必需13.5% エネルギー11.6% 一般消費財11.2% | 同上 |
NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty 50連動型上場投信 | 1678 | 145.2億円 | 1.045% | ー | マネックス証券 楽天証券 松井証券 SBI証券 他 |
iシェアーズ インド株 Nifty50 ETF | 201A | 2024/6/30時点では不明 | 0.385 | 2024/6/30時点では不明 | マネックス証券 楽天証券 松井証券 SBI証券 他 |
(1)ウィズダムツリー インド株収益ファンド(EPI)の特徴
A.構成銘柄紹介(443銘柄中上位3銘柄)
- ①リライアンス・インダストリーズ(7.73%)
- 石油化学エネルギーを中心に、小売り、インフラ、バイオテクノロジーなどを手掛けるコングロマリット。民間部門でインド最大の企業規模を誇る。
- ②タタ・スチール(6.27%)
- インドの財閥;タタ・グループの中核となる鉄鋼メーカー。タイやベトナム、イラン等にも子会社を展開。
- ③インフォシス(4.84%)
- IT・ビジネスコンサルティング、ソフトウェア開発企業。近年はデジタルトランスフォーメーションに特化。
B.チャート
2008年2月以降の長期チャートで見ると、割高傾向である。
(2)iシェアーズMSCIインド・スモールキャップETF(SMIN)の特徴
A.構成銘柄紹介(355銘柄中上位3銘柄)
- ①マックスヘルスケア(1.94%)
- 病院チェーン。首都デリー全体に医療施設を保有し運営している。
- ②フェデラルバンク(1.18%)
- 1336支店を有する民間銀行。世界中の送金パートナーのネットワークを含む1000万人以上の顧客基盤を持つ。
- ③アショック・レイランド(1.16%)
- 中大型車を扱う、インド第3位の自動車メーカー。
B.チャート
2012年以降の長期チャートで見ると、割高傾向である。
(3)iシェアーズ MSCI インディア・クライメート・トランジションETF(INDA)の特徴
A.構成銘柄紹介(101銘柄中上位3銘柄)
- ①リライアンス・インダストリーズ(10.53%)
- 石油化学エネルギーを中心に、小売り、インフラ、バイオテクノロジーなどを手掛けるコングロマリット。民間部門でインド最大の企業規模を誇る。
- ②インフォシス(7.13%)
- IT・ビジネスコンサルティング、ソフトウェア開発企業。近年はデジタルトランスフォーメーションに特化。
- ③ICIC銀行(6.30%)
- インドで2番目に大きい市中銀行。一般銀行業務に加えて投資情報サービスの提供や生命保険業などを展開。
B.チャート
2012年以降の長期チャートで見ると、割高傾向である。
(4)NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty 50連動型上場投信(1678)の特徴
A.Nifty 50とは?
・インドの株価指数。インド・ナショナル証券取引所(NSE:National Stock Exchange of India)に上場する銘柄のうち、時価総額や流動性、浮動株比率などの基準を用いて選定した50銘柄の株価を時価総額比率で加重平均し、指数化したもので、1995年11月3日を基準日とし、その日の時価総額を1000として算出される。
・当該ETFは、Nifty 50指数の円換算値との連動を目指すETFである。
Nifty 50指数とは|インデックス(指数)用語集|iFinanceより抜粋)
B.チャート
2010年以降の長期チャートで見ると、割高傾向である。
5.まとめ
- 運用コスト、取り扱い証券会社の観点から、EPIへの投資が良いと考える。
- 海外の証券会社で口座を開設できるだけの資金と行動力のある方は、より魅力的なINDAやSMINが良いかもしれない。
- インドの国有企業は、非効率、汚職、財政的損失など、多くの課題に直面している。逆に、成長代の大きい小型株に幅広く分散しているという点から、SMINの方がより株価の伸びが期待できるかもしれない。
- チャート的には日本株(1678)も含めてほとんど同じ形である。また、共通して割高であることからテクニカル的には今すぐ飛びつく必要はないと考えている。
- 一方、各企業が製造工場を中国からインドやベトナム、メキシコなどへ移管するというファンダメンタルズの観点からすれば、買ってもよいかもしれない。
- 参考として以下に載せてある銘柄への投資はあまりお勧めできない。
(参考)ヴァンエック・インド・グロース・リーダーズETF(GLIN)
(1)構成銘柄紹介(上位3銘柄)
①サン・ファーマシューティカル(5.50%)
②ヒンダルコ・インダストリーズ(5.44%)
③インド石油ガス公社(5.22%)
(2)チャート
┐(´∀`)┌ヤレヤレ