米国企業の決算用語①
1.始めに
米国企業の決算を確認する中で、”頻繁に出現するけれど、よくわからない項目”が複数点ありましたので、3回に分けて確認した結果を共有します。
私は、日本の企業の決算書もまともに読み解けるレベルではないので、参考程度にご活用いただければと😅
2.Gross margin(グロスマージン)
・グロスマージンは、売上総利益率・粗利益率のことであり、会社の儲ける力を確認するための指標です。計算式は以下の通りです(計算式中のアルファベットは図中のアルファベットとリンクします)。
グロスマージン(売上総利益率)(%) = Ⓐ売上総利益 ÷ Ⓑ売上高 × 100
・グロスマージンが高いほど、売上原価を低く抑えられていると言えるため、効率的な事業運営を行っていると判断できます。製造業では、売上高から製造原価を引いて算出します。
・グロスマージンを改善するには、売値アップや販売費・一般管理費の削減(売上総利益アップ)、売上原価低減を図る必要があります。
3.GAAP、non-Gaap
(1)GAAP(ギャープと読みます)
GAAP(Generally Accepted Accounting Principles)は「米国会計基準」であり、米国企業は基本的にこの米国会計基準に沿って決算書を作成します。つまり、正式な会計基準に沿って計算された数値のことです。
(2)non-GAAP(ノンギャープと読みます)
・non-GAAPは「非米国会計基準」であり、正式な会計基準に則っていないが法律違反ではありません。これは、前期、前々期の決算との連続性を持たせるために、通常発生しない特殊な損益を除いた非公式の数値です。
・米国企業の中には、決算書にEPS(1株当たり利益)を複数種類記載している会社がありますが、機関投資家が注目しているのは「non-GAAP EPS」です。
4.Operating cash flow margin(営業キャッシュフローマージン)
(1)営業キャッシュフローマージンとは
・営業キャッシュフローとは、ある会社が商品やサービスを売り、その売値からその原材料費や販売するために直接掛かった支出を差し引いた現金収支のことです。
・その営業キャッシュフローを売上高で割った数字を営業キャッシュフローマージンといいます。
(2)営業キャッシュフローマージンの目安
営業キャッシュフローマージンが15~35%ある銘柄が狙い目です。なぜなら、キャッシュフロー(現金の流れ)は会計的に誤魔化しが効かない数字であり、その会社の経営実態をスバリ示すためです。営業キャッシュフローマージンが15~35%であれば、毎期十分な現金収入が得られていることから、その会社は優秀であると言えます(他の細かな指標を見る必要がなくなる)。
広瀬隆雄さん(通称じっちゃま)の書籍・動画からの抜粋です。
5.operating margin(営業マージンなど)
営業マージン、営業利益マージン、売上高営業利益率など様々な呼ばれ方がありますが、これは売上高に対する営業利益の割合を表す指標です。なお、営業利益は本業でどのぐらい効率的に儲けたかを測る指標であり、この値が大きいほど本業の収益力が高いと言えます。
営業マージン(%) = 営業利益※ ÷ 売上高 × 100
※営業利益 = 売上高 – 売上原価 – 販売費・一般管理費
6.Free cash flow(フリーキャッシュフロー)
・企業が本業の事業活動によって生み出すキャッシュフロー(現金)のことです。
・株主や資金の提供元に対して自由に分配でき、金利の返済や債務の償還、株主への配当などの原資になります。また、フリーキャッシュフローは利益の増加、売掛金や在庫の圧縮、設備投資の減少などにより増加します。
フリーキャッシュフロー = 営業活動によるキャッシュフロー – 投資活動によるキャッシュフロー